#009 次の約束

教室に残る学生も少なくなってきたころ

ハルがふと、思い出したように口を開く。

「そうだ。」

「?」

「前に、りく、チーズケーキ好きって言ってたよね?」

「え……覚えてたんですか?」

「覚えてるよ」

優しく笑われて、陸の頬が少し熱くなる。

「駅前にさ、有名なチーズケーキのカフェあるんだよ。夏休み入ったら、一緒に行かない?」

その言葉に、沈みかけていた気持ちが

ふわっと浮き上がる。

講義が終わったら、もう会えなくなるかもしれない。

そんな不安が、少しずつ消えていく。

「……行きたいです」

答えると、ハルの目元がふっと緩む。

「よかった」

その笑顔を見た瞬間、

胸の奥がじんわり熱くなった。

夏休みが、少しだけ楽しみに思えた。

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