教室に残る学生も少なくなってきたころ
ハルがふと、思い出したように口を開く。
「そうだ。」
「?」
「前に、りく、チーズケーキ好きって言ってたよね?」
「え……覚えてたんですか?」
「覚えてるよ」
優しく笑われて、陸の頬が少し熱くなる。
「駅前にさ、有名なチーズケーキのカフェあるんだよ。夏休み入ったら、一緒に行かない?」
その言葉に、沈みかけていた気持ちが
ふわっと浮き上がる。
講義が終わったら、もう会えなくなるかもしれない。
そんな不安が、少しずつ消えていく。
「……行きたいです」
答えると、ハルの目元がふっと緩む。
「よかった」
その笑顔を見た瞬間、
胸の奥がじんわり熱くなった。
夏休みが、少しだけ楽しみに思えた。

