#008 講義が終わる

講講義終了のチャイムが鳴る。

学生たちが立ち上がり、教室を出ていく中、陸はゆっくりノートを閉じた。

——終わっちゃった。

この席に並んで座る時間も、今日で最後。

そう思うと、胸の奥が少しだけ苦しくなる。

「りく」

名前を呼ばれて顔を上げる。

ハルが穏やかに笑っていた。

「講義、終わっちゃったね」

「……はい」

ハルは椅子にもたれながら、小さく息を吐く。

「なんか、ちょっと寂しいな」

その言葉に、陸は思わず目を見開いた。

——ハルさんも、同じこと思ってたんだ。

自分だけが寂しいわけじゃなかった。

そう思った瞬間、胸の奥がじんわり温かくなる。

「俺、毎回ここ来るの結構楽しみだったんだよね」

ハルがそう言って笑う。

陸の胸が、どくんと大きく跳ねた。

「……俺もです」

小さな声で答えると、ハルは少し嬉しそうに目を細めた。

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