#004 もっと話したい

講義が終わり、学生たちが次々と教室を出ていく。

陸もノートをバッグにしまっていた、

ーーそのときだった。

「りく」

名前を呼ばれて振り向くと、ハルがいつもの柔らかな笑顔を向けていた。

「このあと、時間ある?」

「え……はい、大丈夫です」

「もう少し話さない?」

その言葉に、陸の胸がふわっと浮き立つ。

断る理由なんて、もちろんない。

二人は講義棟を出て、中庭のベンチへ向かった。

「陸は、実家から通っているの?」

ハルが先に口を開く。

「はい。うちから1時間ほどです。」

「そっか。朝の通勤ラッシュは大丈夫?」

「あんまり……人の多さに圧倒されます。」

正直に答えると、ハルはくすっと笑った。

「だよね。俺も1年の時は通勤してたから。
大変さわかる。」

そう言って笑う横顔を見て、陸は胸の奥がじんわり温かくなるのを感じた。

それから二人は、少しずつ自分のことを話した。

陸は地元のこと、家族のこと。

ハルは卒業後の進路や、大学生活で悩んだこと。

「陸って、ちゃんと人の話聞いてくれるよね」

ふいにハルがそう言った。

「え……」

「話しやすい」

その言葉に、胸がどきっと跳ねる。

「そろそろ帰るか」

ハルが立ち上がる。

「…はい」

並んで歩き出しながら、陸はそっと思う。

——もっと、ハルさんと話していたい。

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