
部屋に帰ってからも、陸はスマホを何度も開いていた。
画面には「ハル」の名前。
トーク画面を開いては閉じて、また開く。
——何か送ったほうがいいよね…。
頭では分かっているのに、指が動かない。
「今日はありがとうございました」と打ってみる。
でも、送信ボタンの手前で止まる。
——変じゃないかな。重くないかな。
そんなことを考えているうちに、メッセージは消してしまった。
ベッドに寝転がりながら、天井を見つめる。
ハルさんの笑顔や、優しく話しかけてくれた声を
なぜか思い出してしまう。
LINEを送りたいけど、
「……送れない」
——ハルさんから連絡してくれたらな
そんな都合のいいことを考えて、少しだけ自己嫌悪になる。

