#002 連絡先を交換しても

部屋に帰ってからも、陸はスマホを何度も開いていた。

画面には「ハル」の名前。

トーク画面を開いては閉じて、また開く。

——何か送ったほうがいいよね…。

頭では分かっているのに、指が動かない。

「今日はありがとうございました」と打ってみる。

でも、送信ボタンの手前で止まる。

——変じゃないかな。重くないかな。

そんなことを考えているうちに、メッセージは消してしまった。

ベッドに寝転がりながら、天井を見つめる。

ハルさんの笑顔や、優しく話しかけてくれた声を

なぜか思い出してしまう。

LINEを送りたいけど、

「……送れない」

——ハルさんから連絡してくれたらな

そんな都合のいいことを考えて、少しだけ自己嫌悪になる。

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