#008 雨の中の回顧

水たまりを踏んで、さらに濡れる。

「郁人の負け確定」

「勝手に決めんな」

くだらないやり取りが、自然と続く。

気づけば、服も髪もすっかり濡れていた。

「……びしょびしょだな」

「だな」

息を整えて、ふと顔を見合わせる。

その瞬間、小さく、笑いがこぼれた。

「こういうの、なんか久しぶりだな」

弘樹が笑いながら覗き込む。

「こんなくだらないこと、久々にしたわ」

郁人は最悪という顔をしている。

「はは、たしかに」

そう言いながら弘樹が笑う。

気づけば、郁人も小さく笑っていた。

高校の時、
くだらないのに、やけに楽しかった時間を

2人は思い出していた。

タイトルとURLをコピーしました