#004 再会の心境

弘樹のことは、別に嫌いじゃない。

高校の頃はよく一緒にいたし、あいつといる時間はそれなりに楽しかった。

……ただ。

知り合いと働くのは、あまり好きじゃなかった。

バイト中の自分を見られるのが、

なんとなく落ち着かない。

普段なら誰にも気にされないようなことまで、

弘樹には見透かされそうな気がするから。

昔からあいつは、人の懐に入るのがうまかった。

距離が近くて、遠慮がなくて。

だからこそ、調子が狂う。

「え、なにその顔。嫌そうじゃん?」

からかうように笑う声も、昔と変わらない。

「嫌だよ」

そう返したのに、弘樹は全然気にした様子もなく笑っていた。

「今日からよろしくな、いくと先輩」

わざとらしい呼び方に、思わず眉が寄る。

……けど。

その声を聞いた瞬間、少しだけ肩の力が抜けた。

三年ぶりのはずなのに、
弘樹と話していると、不思議なくらい昔の空気に戻る。

——まあ。

弘樹となら、一緒に働くのも悪くないかもしれない。

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