#002 初出勤

大学四年の春。

八木澤弘樹(やぎさわひろき)は、就活もひと段落して、時間がぽっかり空いていた。

家でダラダラしてるのは性に合わない。

そんなときに見つけたカフェの求人に、軽い気持ちで応募した。

——結果は合格。

そして今日が、初出勤だ。

店に着くと、店長から簡単な説明を受け、そのままロッカー室へ案内される。

制服に着替えながら、ふと息を吐いた。

バイトには慣れている。

接客も嫌いじゃないし、似たような店での経験もある。

——それでも。

「……ちょっと緊張するな」

着替えを終え、ロッカーの扉を閉めた。

もう一度、深く息を吐き、

そのままドアに手をかける。

ガチャ、と開けた瞬間——

視界に入った顔に、思考が止まった。

「え…」

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