#009 2度目の出勤04

水たまりを踏んで、さらに濡れる。

「郁人の負け確定」

「勝手に決めんな」

くだらないやり取りが、自然と続く。

気づけば、服も髪もすっかり濡れていた。

「……びしょびしょだな」

「だな」

息を整えて、ふと顔を見合わせる。

その瞬間、小さく、笑いがこぼれた。

「こういうの、なんか久しぶりだな」

弘樹が笑いながら覗き込む。

「こんなくだらないこと、久々にしたわ」

郁人は最悪という顔をしている。

「はは、たしかに」

そう言いながら弘樹が笑う。

続けて弘樹は言う。

「高校のときもさ、みんなで走ったよな。
 雷の中、無駄にテンション上がってさ」

「……あったな」

その後も、駅で別れるまで、
2人は高校の時の話をしていた。


くだらないのに、やけに楽しかった時間を
2人は思い出していた。

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